自転車を盗まれたことある人、けっこういるんじゃないでしょうか?
盗まれた時はどうするか知っていますか?そうです、盗難届を出すのです。
盗難届を出さなかったらどうなるか知っていますか?
どうもならない?自転車が帰ってこないだけ?
いえいえ、酷いことになるんです!
どんな酷いことになるのか、実際に私に起きたエピソードをご紹介します。
貸した自転車盗まれる
私は大学時代、大阪に住んでいました。
大学2年の時、バイトを始めて少しお金が貯まったので、原付(YB-1)を購入しました。
それまで使っていた自転車(ママチャリ)は、欲しいという友達に貸してあげました。
1年ほど経ったある時、その友達から「ごめんチャリ盗まれた!」とメールが。
まぁもう使わないし別にいいか。と盗難届を出さずに放っておきました。
恐怖の電話がかかってくる
それから2年、私は大学生から社会人になってバリバリ働いていました。
ある夏の暑い日、仕事終わりに携帯を見てみると、ものすごい数の着信履歴が!
なんだろうと思っていたら、ちょうどその番号から電話がかかってきました。
恐る恐る出てみると、相手は警察だと名乗るではありませんか!
え?なんで警察が?なんか悪いことしたっけ?嫌な汗がどっと噴き出しました。
警察官はこう言いました。
「あなたの自転車が公園に置きっぱなしになっていて迷惑だと通報があった。子供がケガするといけないので持って帰ってくれ。」
ん?自転車?なにそれ?
その時私は2年前に盗まれた自転車のことなど完全に忘れていて、それは自分のじゃないです。と言いました。すると、
「そんなはずはない、あなたの名前で登録されている。いつ取りに行けるのか?」
と言われました。
いやいや、何かの間違いです。取りに行きません。そう言って電話を切りました。3秒後にまた着信。無視しました。何回もかかって来ましたが無視しました。
自転車のことを思い出す
仕事で疲れてるのにまったく迷惑な野郎だ、ほんと最悪だわ。と思いながら乗った電車の中で、
「あ、あの友達に貸してたやつかも。」と思い出しました。
やべ、盗難届出してなかったからオレが放置したことになっちゃってるんだ。どうしよう。今度電話かかってきたら2年前に盗まれたって言おう。そしたらなんとかなるだろう。そう思ってその日は寝ました。
怒られる
次の日、仕事の昼休憩中にまた警察から電話がかかってきました。出てすぐに、2年前に自転車盗まれたのを思い出した。盗難届出すの忘れてた。と説明しました。
これで大丈夫だろう、警察が自転車届けてくれるだろう。と思っていたのですが、
「いやいや、そんなの知らない、とりあえず取りに行け。3日以内に取りに行け。」
そう言うのです!
ファッ!?なんで?なんで盗まれたオレが悪者みたいになってるの?被害者なんですけど!と言いたかったのですが、チキン野郎なので言うことができず、自転車を取りに行くことを了承してしまいました。
さらに怒られる
4日後の月曜日、また警察から電話。
「3日以内に取りに行けっていったよね?なんで取りにいかないの?」
いやいや、こっちは接客業なんで土日休みじゃないんで取りにいけないですよ。そのうち取りに行きます。と言うと。
「そんなの知ったこっちゃない、このまま放っておくならこっちも強硬手段を取っちゃうよ」
と言われました。
強硬手段?逮捕されるの?うそでしょ?盗まれたのこっちなのに?盗んだやつじゃなくてオレを逮捕すんの?ひどい、ひどすぎる。
と思いましたが、ビビリにビビってしまい、次の休みに取りにいくことにしました。
自転車を取りに行く
それはそれは暑い夏の日でした。私は大阪から兵庫へ向かう電車の中にいました。
警察から教えられた住所は、自転車を盗まれた大阪から遠く離れた、兵庫県の小さな駅の近くの公園でした。家からその公園までは電車で2時間ほどの距離でした。
家を出る時は、逮捕されたくないからしかたなく取りに行くか。という感じだったのですが、目的地に着く頃には、自転車が戻ってきて嬉しいな。と思うようになっていました。これからはサイクリングできるじゃん、健康じゃん。ってな感じでワクワクしてさえいました。
自転車じゃなかった
公園に着いてすぐ、そのワクワクは絶望に変わりました。
自転車を取りに来たはずなのに、そこにあったのはぐちゃぐちゃの鉄くずでした。
最悪だ。自転車じゃなくなってる。乗って帰ろうと思ってたのに。絶対無理じゃん。どうしよう。どうすりゃいいんだろう。
真夏の公園で汗だくで鉄くずの前で立ち尽くしました。
けじめをつける
腹が立ちました。ものすごく腹が立ちました。
なんで盗まれたオレがこんな目に合わなきゃいけないんだ。盗んだ奴を捕まえて処分させればいいじゃないか。たまの休みにこんな知らない公園で俺は何やってんだ。最悪だ。
なんてことを思っても何も解決しないので、とりあえずこの鉄くずを処分することにしました。
当時は携帯でネットを見るのは難しい時代でした。今のようにスマホで何でも調べられませんでした。
私の携帯には「iモード」という、かろうじてネットができる機能が付いていて、しょぼいテキストサイトならなんとか見れました。
私はそのiモードを駆使して、その公園の近くの廃品回収業者を探し当て、連絡し、かつて自転車だった鉄くずを引き取ってもらう手配をしました。
1時間ほどして、廃品回収の軽トラックがやってきました。私は鉄くずを荷台に乗せたのを確認した後、業者のおじさんに出張費+回収代7,000円を払い、この悪夢にけじめをつけました。
7,000円!もうちょっと出したら新しい自転車買えるじゃん!ていうか公園まで来る交通費とかで10,000円超えとる!最悪だ!最悪だ!最悪!
とプンスカしても怒りをぶつける相手もおらず、帰りに行きつけの立ち飲み屋で立っていられないくらいベロベロになるほど酒を飲み、さらなる出費をした後、泣きながら家に帰りました。
こうして私の悪夢は終わりました。
最後に
これが私に起きた最悪の出来事です。
これも全て自転車を盗んだやつが悪い!絶対に許さない!
しかし私も悪かった。先のことを何も考えずに盗難届を出さなかった。
盗まれたと申告しないと警察は被害者だと認めてくれないのです。逆に加害者扱いして逮捕すると脅してくるのです。
たかが盗難届、されど盗難届です。
あなたもこうならないように、自分を守るために、必ず盗難届を出すようにしましょう。